2035年、都市の勝敗を決めるのは『電力』になる
高層ビルの時代は、もう終わりに近づいている
20世紀、都市は高層ビルの高さで競い合いました。 21世紀初頭は、インターネット回線の速さで競い合いました。
では2035年、都市は何で競うようになるのでしょうか。
答えは、「どれだけ多くの知能を動かせるか」です。
そしてその知能を動かすのは、電力であり、通信であり、データセンターです。これは決して大げさな予測ではありません。すでに兆候は見え始めています。
AIエージェントが「通勤」という常識を溶かす
AIエージェントとは、指示された仕事を、調査から実行、修正まで自律的にこなすAIのことです。
営業なら市場調査・顧客分析・提案資料作成・日程調整・メール対応。こうした業務の多くを、AIエージェントが引き受け始めています。
人間がオフィスに毎日通う理由は、これまで「作業をするため」でした。しかしAIエージェントが作業の大部分を担うようになると、人間が集まる理由は「創造するため」「信頼関係を築くため」「難しい判断を下すため」に絞られていきます。
週5日通勤していた前提が崩れ、週1〜2日の対面協働に置き換わる。これは働き方の変化であると同時に、都市の交通需要そのものを組み替える力を持っています。
都市計画の主語が「人と車」から「電力と計算」へ
これまでの都市計画は、人と車の移動をどう設計するかが中心でした。
AIエージェント時代の都市計画は、次の問いが中心になります。
- 電力をどう安定供給するか
- 通信インフラをどう確保するか
- 計算能力(データセンター)をどこに配置するか
駅前オフィスビルの高さよりも、安定した電力供給とデータセンターの集積度が、都市の競争力を決める時代が近づいています。これは建築・土木・電力・通信・行政が一体で設計し直すべき、新しい都市インフラの構想です。
地方は「人口の奪い合い」から「暮らしの魅力の競争」へ
出社の必要性が下がれば、「会社に近いこと」より「広さ」「静けさ」「子育てのしやすさ」「自然環境」が住まい選びの基準として重みを増します。
これまで地方移住の最大の壁は仕事でした。AIエージェントを介して、都市部の本社と地方在住の社員が同じプロジェクトを進められるようになれば、その壁は下がります。
その結果、地域政策の主戦場は「人口の奪い合い」から「暮らしの魅力をどう競うか」に移っていく可能性があります。
データセンターは、次の工業地帯である
AIエージェントは、調査・思考・実行・確認・修正という処理を、人間よりはるかに多く繰り返します。この処理を支えるのが、電力・冷却水・高速通信網・広大な土地です。
自動車工場や製鉄所が担ってきた「工業地帯」という役割を、これからはデータセンター群が担うようになる。そう予測しています。
予測のまとめ
- 通勤という都市の前提が崩れ始める
- オフィスは「作業場」から「創造の場」へ役割転換する
- 住まい選びの基準が通勤時間から生活の質へ移る
- 地方と都市の関係が「奪い合い」から「魅力の競争」へ変わる
- データセンターが新しい産業集積地として台頭する
都市を支配するのは、もはや高層ビルの高さではなく、電力の量になる。これが、AIエージェント時代の都市に対する現時点での予測です。
次回のFUTURE SYNTHESISでは、この延長線上にある「電力は新しいGDPになる」というテーマを扱う予定です。より詳しい考察はSubstack「AI文明の生き方」でも公開しています。
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