都市を生命体として設計するメモ
東京を「機械」ではなく「生命体」として捉え直す視点と、 木造建築・循環設計との接点を技術メモとして整理する。
1. 前提:近代都市計画は「機械」の思想
道路 → 物流のため
鉄道 → 輸送のため
下水道 → 排水のため
建物 → 人の収容のため
→ 効率最大化を志向した設計。結果として東京は高効率都市になったが、 水・風・生物移動の「流れ」が各所で分断された。
失われたものの例:
- 渋谷川・古川・藍染川・神田川などの暗渠化
- 谷戸・湿地の消失
- 風の通り道の遮断
- 生物移動経路の分断
2. 都市を「流れ」で捉え直す
人体の血液・リンパ・神経信号と同様に、都市にも流れがある。
| 流れの種類 | 現状の課題 |
|---|---|
| 雨水 | 排水優先で地中循環が乏しい |
| 風 | 高層化・密集により遮断されやすい |
| 生物 | 移動経路(コリドー)が分断 |
| 人 | 歩行動線が車道優先で制約される |
| 情報 | デジタル化は進むが空間と非連動 |
構造設計の視点との類推: 建物 = 力の流れ(地震力・荷重・応力集中)を見る 都市 = 生命の流れ(水・風・生物・人・情報)を見る
流れが途切れる → 建物:損傷/都市:洪水・ヒートアイランド・生物多様性低下
3. 東京型の自然再生:点 → 線 → 面
現存する自然要素(点):
- 神社の森 / 皇居の緑地 / 河川敷 / 公園 / 屋上緑化
課題: ネットワーク化されていない(毛細血管が途切れた状態に類似)
アプローチ:
神社 ── 公園 ── 河川敷 ── 街路樹(生態回廊)── 緑地
大規模公園の新設ではなく、既存の点をつなぐ発想。
4. 木造建築・循環設計との接点
木材が注目される理由:
- 炭素固定効果(よく語られる理由)
- 自然界の循環の一部であること(本質的な理由) ```
従来:建てる → 使う → 解体 → 廃棄
循環:建てる → 使う → 転用 → 解体 → 再利用 → (次の建築へ)
CLTのモジュール化・DfD(Design for Disassembly)・
マテリアル・パスポートなどの実装は、
この循環設計を建材レベルで具体化する試みと位置づけられる。
→ 詳細は連載内の実装編(CLTサーキュラー設計メモ等)を参照
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## 5. まとめ:機械都市から生命体都市へ
建物 = 細胞
道路 = 血管
河川 = 循環器
緑地・森 = 肺
人々の活動 = 代謝
AI = 神経系
```
個別最適化の時代から、都市全体を一つの生命体として 捉える設計思想への転換が、今後のテーマになる。
連載で深く学ぶ
この思想編の背景にある、CLTの再利用システムや 木造ハイブリッド設計の実装戦略は、連載「木造建築2.0」 (Substack)で具体的に解説している。
実装と思想を行き来しながら、建築技術者向けに発信中。
木造建築2.0 | phity.net / phitouc.substack.com 木造建築2.0 | phity.net / phitouc.substack.com